Hand Reading at the Micros


ハンドリーディングとは、昔からポーカーにおいて使われてきた用語です。
これは基本的には文字通りの意味を表し、誰かのハンドを推理するということです。
しかし、近年では、少なくともオンラインポーカーにおいては、この意味で使う人は減っています。
その理由とは、「ハンドリーディング」というフレーズがそもそも、オールドスクールのライブポーカー勢が
相手のハンドをまさに特定して読むような考え方から来ているためです。
我々はこのような考え方の例を、TVのポーカープロなどのプレイで見ることができます。
言うまでもなくそのようなシーンの裏では多くの編集がなされているわけですが、
そのため我々はそれを見て彼らのことを天才に思えてしまいます。

ハンドではなくレンジ


今日のオンラインポーカーにおいてハンドリーディングという考えがあまり好まれない理由は、
我々はもはや相手のハンドというのを1点で考えてはいないからです。
その代わりに我々は、「レンジ」という概念を用います。例えばリバーで相手からのベットに直面した場合、
私は「彼は30%はフラッシュを持っていて、ツーペア/セットタイプのハンドが30%。
ペアハンドの可能性は20%程度で、ブラフが20%というところだろう」と、このように分析します。
これを見れば、私が相手を読むときに、ある特定のハンドを考えていないことがわかると思います。
私は特に、相手のハンドタイプごとの傾向に注目しています。私は相手のハンドレンジを分析しているのです。
そのレンジの中に実際にある特定のハンドが含まれているかどうかは、それほど重要ではないのです。

ポーカーは黒か白かを当てるゲームではない

また、オールドスクール的な考えからくるもう一つの悪癖としては、ゲームを黒か白かで見ることです。
私は、生徒から数えきれないくらい「直感的に相手は確実にフラッシュだと思ったのでフォールドしました」
というようなことを聞かされた経験があります。私は彼らに、本当に相手がそのスポットで100%フラッシュを
持っているかを考えさせます。たしかに相手が○○%の確率でフラッシュを持っていることは事実ですが、
残りの確率で彼らは色々なハンドを持っている、ということもまた事実なのです。

注意して欲しいのは、マイクロステークスでは、ある相手のHUDのデータ等を見た場合に、たしかに相手が
まさにある特定の種類のハンドを持っている確率が100%になるような場合があるということです。
これについては少しあとで話します。しかし、直感以外の何物でもないようなものに基づいて、
相手のハンドに対し黒か白かで考える方法は、殆どの場合に間違っているものです。
ほとんどすべての人は、たとえある場面であるハンドを持っている確率が90%であったとしても、
(特定の1ハンドではなく)レンジを持っているのです。

オールドスクールとニュースクール

この記事で、私がまるでライブポーカーをバッシングしているように見えるかもしれません。
それが私の意図することではないことは確かです。しかしながら、たくさんの編集をしたTVのポーカー番組や、
ハリウッド映画などで描かれるポーカーは、(それが良いものであれ悪いものであれ)、多くのカジュアル
プレイヤーのポーカーに対する理解を歪めてしまっているのです。
実際、多くの一般人は、ポーカーに対して、運が支配するゲームであり、暗く煙草の煙が充満した部屋で、
マッチョな男たちが銃を持ったマフィアの重役とともにプレイするようなものであると思っています。
もちろんこれは現実からはかけ離れています。今日のポーカーは、数学的/論理的スキルをベースとし、
ノートPCの前に座った若者に支配されているゲームなのです。

一般人が持っているポーカーに対するイメージは、近視眼的で、論理的思考に欠けた考えから来ています。
もちろんポーカーにはロマンチックな魅力があり、それが人を引きつける理由になっていることは良いことです。
ビッグコール、テーブルトーク、虚勢、ポーカーフェイス。いろいろな要素があります。
そしてTVプロ(実際には彼らの殆どはオンラインのトップクラスには位置していません)が、初心者を惹きつける
このようなポーカーへのイメージを保つことをやってのけています。

しかし、私がこのブログや本、ビデオで教えているような、システマチックで、地味で、長期的観点で
低いレートで勝つというような、世間一般とは正反対の考え方も徐々に浸透してきています。
実際、ポーカーを始めたばかりの多くの人は、彼らが思い込んでいるような大きな間違いを脳内から
消去しなければ、勝ち始めることは難しいでしょう。

マイクロステークスは(大抵の場合)"別物"

上記を踏まえたとしても、皮肉なことに、あなたがマイクロステークスをある程度プレイしてみれば、
ある特定のスポットで、相手の特定のハンドをほとんど当てることができてしまう、ということが数多くあります。
DragTheBarの私のビデオを見たことがある人は、私がよくそれをやってるのを見たかもしれません。
時には間違っていることもありますが(もちろん編集でカットしたりはしていません)、たいてい的中させます。

なぜこれが可能かというと、多くのマイクロステークスのプレイヤーは、プレイにおいてバランスをとる、
ということを全くしていないからです。たとえば、5NLで18面を打っている11/9のnitが、私のダブルバレルに
レイズしてきたのなら、ボードを見れば、セットを持っているだろうとわかってしまいます。
これは文字通り同じようなスポットの同じようなハンドでは、まさに毎回同じアクションをしているからです。
相手のスタッツを見るまでもありません。実際、ステークスが上がるにつれポーカーが難しくなる理由とは、
このような方法でプレイする人がいなくなるからです。ハイステークスではナッツでないメイドハンドや、
セミブラフ、または完全なエアでも、同じスポットで同じプレイをします。それゆえに、彼らのハンドを
読み当てるということは不可能になってしまうのです。

正直に言えば、マイクロステークスだからといって、そこで考えを止めてしまうのは良くない習慣です。
たとえマイクロステークスであろうとも、あなたは常に相手のハンドをレンジの観点で考えるべきです。
ほとんどの場合、とくに早いストリートにおいては、相手はいろいろなハンドを持っています。
たとえ相手が全くバランスを取っていないニットであったとしても、あなたがステークスを上げた時に
ポーカーについて正確に思考ができるように、自分を鍛えるということはいい考えです。

HUDを効果的に使おう

HUDは多くの点でこれを助けてくれます。実際に相手の統計を見ることにより、私が警鐘を鳴らしたような
黒か白かの「感覚的」アプローチではなく、近代的な、より数学に基づいた思考方法でこのゲームを考えることに
集中できます。例えばもしフロップでの相手のコールレンジを推測したいならば、私なら相手の
Float Flop CBet%の値を見ます。低いステークスの多くのnitは、この値が10%以下のことが多いでしょう。
なぜなら、彼らはフィットオアフォールドのプレイしかしないからです。それゆえに、もし彼らが
私のフロップCBをコールした場合、オーバーペア、TPGK+、強いドローなど、狭いレンジと推測します。

しかし、Float Flop CBet%が30~40%のような降りないレギュラーやレクリエーショナルプレイヤーには、
オーバーペア、トップペア、ミドルペア、ボトムペア、強いドロー、弱いドロー、時にはエアハンドなど、
かなり広いレンジを推測します。だからそういうプレイヤーに対しては、ターンでラグが落ちれば、より多く
2発めを打つのです。もし彼らがターンレイズをしてきたら、私は再びHUDを見て、この場合なら
Raise Turn CBet%を確認します。再び彼らのレンジをデータから推測し、決断を下します。

完璧は求められていない

このようにHUDを使って相手のレンジを分析するときに、完璧な読みができるとは思っていない、
ということもまた、言いたいと思います。彼らのレンジの中にどのような種類のハンドが何%あるか、
を厳密に特定するようなことには私はあまり時間を使いません。私がほしいのは、相手のハンドタイプに関する
一般的な考えと、自分が直面している、相手のアクションのおおまかな傾向だけです。

だから例えば、ミドルペアを持っていて、CBets the turnが30%であるようなnitな相手から
ダブルバレルを打たれた時などに、私の思考はこのような感じです。
「ここでの相手のレンジは大半がトップペアやオーバーペアで構成されている。
彼は時にはドローハンドやターンに落ちたスケアカードでダブルバレルを打ってくるかもしれないが、
HUDスタッツからわかる彼のタイプを考えると、大抵の場合はこっちが負けているだろう」
そして結論として「だから、ここはフォールドだ」となります。

今日では、極端な方向へ走り、このような状況を、数学を使って、カードのコンボ数を数え、
レンジの傾向を完全に特定し、完璧に解明しようと考える人もいるでしょう。

これと同じようなことをする必要はありません。その最大の理由としては、マイクロステークスの
キャッシュゲームで多面打ちを行っている場合に、そこまでの思考をする時間はないからです!
私が言ったような、(完璧ではないが)実用的なアプローチが、実際には有用なのです。
細かすぎる数字に固執することは、超長期でもなければあなたの収支には影響しません。
世界的な「ポーカー研究家」状態になってしまい、実際のプレイ時間を作れない事こそが、
むしろあなたの収支に悪影響を及ぼしてしまうのです。

まとめ

この記事が、ハンドリーディングの、特にマイクロステークスにおいてのあなたの考え方について
少しでもいい影響があることを願います。私はこの用語はもう使うことをやめて、このことを単に
「相手レンジの分析」と呼ぶほうがいいのではないかと本当に思っています。

今日のマイクロステークスで、単純なプレイをする相手に対してオールドスクール的な
相手のハンドを一点読みするアプローチをすることは魅力的であるかもしれませんが、
それでも、レンジ的なアプローチで施行する練習を始める方が良いでしょう。
そしてこれを簡単に練習できるのが、HUDスタッツの使用です。常に実際の相手の数字を検討することが、
ポーカーというゲームを、一点読みではなく、相手のレンジや傾向を考えるためのスタート地点となります。
HUDについては、以前に、実際にどういう数字を表示するかを含めた超長文記事を書いたので、
そちらをチェックしてみてください。

また、単純な相手に対してすら、色々なスポットの研究にのめり込み過ぎたり、複雑すぎる数学理論を用いて
分析しすぎるというような的外れの方向へ進まないように気をつけましょう。結局それは、低いステークスで
多面打ちをする場合においては、あまり効果的でなく実用的でもありません。
もしあなたがポーカーフォーラムを延々見て回って、そこで語られる最新の「理論」に飛びついてばかりなら、
あなたの収支に影響を及ぼさないような無意味な議論に圧倒されてしまうことは容易でしょう。

最大の勝ち組は常にテーブルにいて、多くのボリュームのプレイをこなしています。
彼らはゲームを単純すぎる捉え方をするわけでもなく、かと言って分析しすぎるわけでもありません。
今日のゲームを支配するHUDを効率的に使用し、シンプルだが効率的な論理的アプローチを使うのです。
決断を下すために使うものは「ハンドリーディング」ではなく、「レンジ分析」です。
そして完璧を求めるのではなく、効率を求めているのです。

元記事 Hand Reading at the Micros(2015/3/8)
http://www.blackrain79.com/2015/03/hand-reading-at-micros.html

BlackRain79の著書の購入はこちら
Crushing The Microstakes
Modern Small Stakes

ポーカーの基礎はPokerStrategy.comで。